13歳、人生で初めて稼ぎ、欲しいものを手に入れた時の経験

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13歳の時に僕は人生で初めて

心の底から欲しいと思う物が見つかった。

 
 
僕の心を掴んで離さなかった商品。それは
身長が伸びるアイテム〜だった。
 
 

 
 
 
 
 
現在は163センチという
高身長に恵まれている僕ではあるが
 
 
13歳の頃は身長が低く、
前にならった事が一度もなかったのである。
 
 
 
 
異性の目が気になり始めた年頃。
 
 
 
前にならえてない、背の低い自分が嫌になり
どうしたら身長が伸びるのか
嫌いな牛乳を飲んだり、卵の殻を砕いて食べたり
鉄棒にぶら下がってみたり、
様々な事を試みたが背は伸びてくれない
 
 
 
そんなある日、少年誌を見ていた時
脳天にイナズマが走るほど
衝撃を打たれる言葉に出会った。
 
 
 
【身長がグングン伸びる!!】
【クラス1のチビが181センチ!!】
 
 
 
クラス1のチビが181センチ!!
ぐんぐん身長が伸びていくという過大広告に
僕の心は瞬間で鷲掴みされた!
 
 
自慢じゃないが
ずっとクラス1のチビだったからだ!!
 
 
 
ほ、欲しい‼︎
 
 
値段を見ると29800円。なんという大金!
 
 
 
お小遣いは無しの家だったので、
早速、父上と母上に
お願いをしてみるが全く相手にされない。
 
 
 
「石太郎よ。お前はこれから
お父さんのように身長が伸びるから、
大丈夫だ!気にするな!」
 
 
 
腕組みをし、自信満々で励ましの
言葉をくれるのだが、13歳の僕から見ても、
この人は背が低い…と思えてしまうほど
低身長の父上からの言葉は、
まったくもって信用できなかった。
 
 
あえて聞く事はしなかったが、
おそらく父上も過去の人生
前にならった経験など無いはずだ。
この予測は絶対に当たっている。
 
 
もし、
身長がグングン伸びたら
僕はクラス1の身長になれる!
 
小さな一番から大きな一番だ!
 
 
心が踊った。
 
 
しかし我が家は、お小遣いゼロシステム。
 
 
 
目の前にある超絶欲しい商品は
29800円。
 
 
 
そのお金さえ用意できれば
僕の身長はグングン伸びる
クラス1のチビでも181センチ!
 
 
 
どうやって29800円を用意すれば良いか、
真剣に、それはそれは真剣に悩んだ。
 
 
 
人生初の大きな悩みとの出会いが
僕に訪れたのだ。
 
 
学校に行って、勉強をしようとしても
身長の事と、商品の事で頭がいっぱいに
なってしまい、勉強どころではなかった。
 
 
 
むしろ、なんでこんな身長も伸びない場所に
拘束されて勉強をさせられるのか、
僕は今すぐ背が欲しいんだ!】と
心で叫ぶ日々。
 
 
このままじゃ、確実に夢は叶わない。
幼いながらにその事だけは理解できていた。
 
 
 
どうすれば29800円が用意できるか。
 
 
 
毎日、真剣に方法を模索した。
 
 
 
そして悩んだ末、ある日僕は
人生初の決断を、自分自身で下した。
 
 
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
〜中学に行ってる場合では無い!
バイトをして稼ごう!〜
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
 
 
そして即行動を起こしてみた。
 
 
 
道路を挟んだ向かいのおじさんが石屋をしており、
僕はすぐにおじさんの元へ飛び込み、
バイトで雇って欲しい希望を出した。
 
 
おじさんは大変ビックリした様子で
当然ながら、断ってきた。
そして中学に行く必要性を淡々と話された。
一発目のアプローチ失敗。
 
 
家につくとすぐ
父上と母上が飛んできて、
僕の行動に対して物凄い剣幕で怒ってくる。
 
 
 
二度と、そんな行動はするな!
ちゃんと学校へ行け!お前は長男なんだぞ!
 
 
 
残念。まったく聞く耳を持たなかった。
欲しいものが目の前にあるのに、
掴めない人生なんて嫌だ。僕は強く思った。
 
 
世界のヤングが伸びているんだ!
クラス1のチビが181センチになったんだ!
 
 
 
 
 
 
そしてどうすれば、おじさんの所で、
バイトさせてもらえるのか、真剣に考えた。
 
 
 
その数日後、二度目の飛び込みをした。
失敗。全く相手にしてもらえない
 
 
 
そしてまた、父上母上から鬼のように
怒られる。残念。全く耳に入らない。
 
 
 
僕の欲しいものは29800円で買える。
身長はグングン伸びる。絶対に稼ぐ。
 
 
 
おじさんの元に行く回数が8回目になった時、
おじさんは諦めたような様子を見せながら口を開いた。
 
 
「一度言い出したら、
絶対に曲げないんだなお前は。参った。
今度の公園仕事バイトでついてこい」
 
 
8回目の交渉で僕はバイトをさせてもらえる事
バイト代金は1日3000円この二つの
約束を取り切ったのだ。
 
 
やったぞ!
これで僕は夢の切符を手に入れる事ができたんだ!
クラス1のチビが181センチになれる!!
 
 
 
 
 
飛び跳ねるような喜びだった事を今でもはっきり記憶している。
 
 
初めての肉体労働
公園の仕事に行くと優しそうなおじさん達が集まっていた。
 
 
そのおじさん達は7年後に、お世話になる
石工の親方集団だった。
 
 
 
砂やセメント、石を運びながら公園の床貼りを
華麗にこなすおじさん達の背中を見て、
「大人ってかっこいい!!」
感激したものだ。それだけ職人の姿は
幼い僕にも、かっこよく映った。
 
 
 
クタクタになった1日だったが、
帰りに親方から頂いた茶封筒の中に入っている3000円というお金を見て、
 
 
 
お金を稼ぐ事っていうのは、
本当に大変な事なんだなぁと思った。
 
 
あと、9回働けば、念願の身長機械が手に入る!!
それはそれは物凄いモチベーションだった。
自分が中学1年生だということすら、すでに忘れてるほどだった。
 
 
 
そして、10回目のバイトを終え、
 
 
 
念願の身長機械の注文をした。
サンタクロースを待つかのような気持ちで、
目をキラキラさせながら、僕は商品の到着を待った。
 
 
 
♪ピンポーン♪宅急便です。
 
 
来た!来た!
待ち焦がれた僕の恋人よ、こんにちは‼︎
 
 
一箱だけ、宅配のお兄さんから受け取る。
 
 
 
「あれ?機械はこれだけですか?」
 
 
 
「はいそうです。」
 
 
………あれ?
身長が伸びる機械じゃないの??…
 
 
僕は、昔から一点集中人間で
思い込みが多かった故、
 
 
身長が伸びる機械だと
勝手に思い込んでいただけで、
細かい商品の内容など、
どうでも良く全く考えていなかったのだ!
 
 
 
おそるおそる箱を開けると
今は懐かしい、ビデオテープが二つと
謎のテキストが入っていた。
 
 
こ、これは一体何のテープなんだ?
 
 
 
おそるおそる、
カセットデッキにビデオを挿入して見る。
 
 
すると画面に2人の、ねずみ色のハイレグ姿の
おばさんが登場してきた。
お世辞にも綺麗とは言えない中年のおばさまが2人。
 
 
こ、このおばさんは何をするんだ?
 
 
ビデオを見ていくとうつ伏せから顔を上げ、
おばさんの足がだんだんと上がり頭に足の裏がくっついたのだ!!
 
 
 
 
月のポーズだか、太陽のポーズだか
忘れたが、どうやら、このビデオと同じ事を、
朝と晩の15分づつやれば一ヶ月で10センチ伸びるらしい。
 
 
やられた!!!
なんという事だ!!
 
 
こんな事で月に10センチも、
伸びるわけがない事は子供の僕でも理解できた。
 
 
 
早速、人生初のクレームの電話を入れる。
 
 
 
「そもそも、足は頭につかないし、
こんな事をやって一ヶ月10センチも伸びるわけないじゃん!」
 
 
 
オペレーター
「お客様。伸びます。最初は慣れないので
頭には付かないと思いますが、毎日朝と晩15分づつ、
ビデオどうりにやれば、必ず身長は伸びますので、継続してください。
また、何かあればいつでも気軽にご相談ください」
 
 
 
丁寧な対応で好印象を持ってしまった僕。
電話の人も、優しい人だったから信じて
やってみよう。
 
 
 
それから半年、毎日毎日僕は可能性と期待を膨らませながら月と太陽になるべく、
ビデオ講座を実践した。半年間、真剣に続けた。
 
 
 
その結果はなんと…
 
 
 
半年間で数センチアップ……
 
 
 
数十センチではなく、数センチ……
 
 
 
クラス1のチビのままだ。
 
 
 
僕の181センチはいつになったら実現するんだ!
 
 
 
再びクレームの電話をするが相手にしてもらえない。
しかりと教材どうりにやれば、身長は伸びる、伸びないのは、あなたが教材通りに
実践してないからだと、言われてしまう。
 
 
 
僕の29800円を返せよちくしょう!!
 
 
 
泣きそうになりながら、理想と現実の狭間で、苦しんだ。
 
 
 
背が……欲しい。。
 
 
騙される自分が悪い。
今度はちゃんと買う前に、調べたり確認したりしながら
ちゃんと自分で考えてから買おう。
 
 
反省した。反省しまくった。
 
 
クラス1のチビで悩んでいる人が
僕と同じような経験をしてしまうかもしれない。
 
 
汗水流して働いたお金が死んでしまう。
 
 
この悔しさは、自らの反省と共に
話のネタで人に届けていこう!
 
恥じず、この物語は沢山の人に伝えてきた。
 
 
月日が経過し、
30歳が近づいている年ころになった時
僕は素晴らしい、気の合う年上の友達ができた。
 
 
なんというか、初めて出逢う感じがしない
もしかしたら前世からご縁があるのかもしれないと
思ってしまうほどなんだか懐かしい感覚。
 
 
 
出逢いの素晴らしさを感じた。
 
 
どんどん仲良くなりある日
じっくりと飲みながら語りあった。
 
 
僕は酔っぱらって、懐かしの身長話をした。
 
 
 
二人で大爆笑しながら数時間語り合った後
 
 
 
酔っぱらった友達が最後に口を開いた。
 
 
 
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
石太郎ごめん。
実はあの広告のモデルは僕なんだ。。。。。。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
 
 
PS
その友達の身長は170センチもなかったんだとさ。
 
 
 
 
 

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