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僕は小学校1年の時に
サッカークラブに所属していた。
キャプテン翼に憧れ
毎晩ボールを抱きしめて
キスをしながら寝るような少年だった。
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ファーストキスの相手は
もちろんサッカーボールである。(笑)
そして、
オーバーヘッドを極めるために、
何度も脳震盪を起こして
運ばれた経験がある。
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小学校1年
サッカーはいつの日かプロリーグができ、
日本代表が誕生し必ずワールドカップに
出場するようになるので、
その時の背番号10番の
キャプテンに僕はなるんだ!
と、熱意を燃やすキャプテン裕矢。こと僕。
そんな僕の弟の名前は、翼。
そしてキャプテン。
そのまんまキャプテン翼。
サッカーメチャ上手い。
僕はリフティングの数と
オーバーヘッドのパフォーマンスだけは
翼に勝っていたが、
あとは全て圧倒的に負けていた。
弟にライバルを燃やしながら頑張る内に月日が流れ
日本に初めてJリーグが誕生した。
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僕はカズがとにかく大好きで、
絶対にカズに会うんだ!と友達にも
良く豪語して、呆れられていたものだ。
そんな僕のカズに会う夢が、
それほどの期間がかからず訪れることに
なるとは、その時は思ってなかった。
ある日、友達のお母さんから
サッカーのチケットが取れたと
連絡があり、人生で初めて
国立競技場へと足を運んだ。
ものすごい、人の数。
ヴェルディVs、どこかのチーム。
国立競技場を
埋め尽くす人間の数と叫び声に圧倒
されながらも、
憧れのカズがフィールドの上で
プレーをしている姿を見て
心底カッコイイ!と感動し、
座っていられなくなり
立ち上がって1人ガッツポーズをして、
友達から不思議な目で見られたのを
はっきりと覚えている。
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最高の試合観戦を終えたあとは
ひたすらカズに会う事を
イメージしていた。
カズかっこいい、
僕もカズのようになりたい!!
そんな事を考えながら
足元にボールがあることを
意識しながらイメージプレーをしていた矢先、
遠くから何やら
女性の喜びの悲鳴が聞こえてくる。。。
「ま、まさか!」
僕は全力で、声に引き寄せられるように
走っていった。
凄いお姉様の数。幸い僕は、 背が小さかったのでお姉様達の腰あたりをするすると
抜けて行き、鉄の柵の前に辿りついた。
カズはいないが、
目の前に、車が1台置いてある。
※確か、ポルシェだったような
後ろでかんだかい声で
叫んでいるお姉様の声を聞いて確信した
あれはカズの車だ!!
そして。。
なんと。。!!
10mも離れていない距離に
カズが出てきたのだ!
柵に閉じ込められた少年は
ゴリラのように、豹変した。
※画像はイメージです
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カズ!カズーー!!!
必死に、必死に
叫んだがお姉様達の声に
全てかき消さてしまった。
女性って、なんでこんなに高い声が
出るんだ!!頼むから黙ってくれ!!
目の前にカズが!!
憧れのカズが!!
僕のカズが!!
どーしてもカズに存在を
気づいてもらいたいと思ったその時、
右のポケットに入っていた
緑のプリッツの存在に気づく。
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これだ!!
僕は直感ですかさず
そのプリッツを
車のボンネット目掛けて
思い切り投げたのだ
ボンネットに
プリッツが当たった!
そして、
落ちたプリッツを見て
なんとカズが僕の方を見たのだ!!
ゆっくりと
あのカズが僕に向かって
1歩1歩近寄ってくる
僕は心から叫んだ
カズ!!カズ!!
僕は、カズのように
なりたいんだ!!
僕はカズになりたいんだーーーーーーーーーーー!!
※画像はイメージです
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するとカズは柵の間から
僕に手を差し伸べてくれた。
左手は柵を掴みながら
右手はカズの右手と握手を交わした。
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そしてカズはニッコリと
うなづきながら僕に口をひらいた
「諦めなければ、必ず夢は叶う」
その言葉が脳天からつま先まで
稲妻のように走り、言葉を返す事は
出来なかった。
優しくカズの右手は僕から離れ、
僕はその右手を広げて
一瞬だけ酔いしれる事ができた。
残念ながら、その一瞬だけだった。
その後は恐怖の体験が僕を
待ち受けていた。
右手の手首を激しく掴まれ
物凄い勢いで上に引っ張り挙げられる。
引っこ抜かれるくらいの力だ。
そして、僕のてのひらの先には
お姉様方の鼻が。。。。
お姉様方が、
僕の手の匂いを嗅いでいるではないか!!
凄い
まるで掃除機のように
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僕の手を嗅ぎまくってくる!
まさに奪い合いだ!
なんという事だ!!!!
やめてくれ!やめてくれ!やめてくれーー!
お前達はレッドカードだ!!
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カズと握手をした手は
何十人というお姉様の鼻がつき
僕とカズとの一瞬の幸福感は
瞬間で絶望へと変わる。
あの日
カズと出会えた感動と共に、
僕は年上女性が苦手になってしまったのだ。
当然である。
それはさておき
カズがくれた
「諦めなければ夢は叶う」というメッセージは
大人になった今もなお大切に大切にしている言葉である。
いつの日かカズに出逢えた時に僕は
心からありがとうと伝えたい。
緑のプリッツが運んでくれた
キングオブ カズとの出会いそして、
頂いた宝の言葉は
生涯忘れない僕の一ページに
なるだろう。。お姉様の恐ろしい記憶と共に…
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〜諦めなければ、必ず夢は叶う〜
終